
設計データ共有のDX化の重要性
2025年06月02日 15:39
今回は『データ共有で、設計の業務効率は変わるのか』をテーマにした、少量多品種の組立製造メーカーの経営者にぴったりの記事です。
※この記事は約4分で読むことができます
製造業において設計データは重要な知的財産ですが、漏洩を懸念するあまり非効率な管理を続けている企業が少なくありません。
デジタル技術を活用することでセキュリティを確保しながら、大幅な業務効率化が実現できます。
従来の共有方法の課題
① 紙管理の限界
設計図面や仕様書を紙で管理する場合、過去データの検索に数時間を要し、最新版の管理も困難です。
ベテラン設計者が書庫で図面を探しているとしたら、貴重な人材の時間がもったいないのではないでしょうか。
② 拠点間での情報格差
本社で作成された設計データが製造拠点や協力会社に適切に共有されず、各拠点で独自の解釈が生まれます。
これにより品質のばらつきや同じ問題の重複発生が起こり、全体最適が阻害されてしまいます。
③ 物理的共有の制約
郵送や電子媒体による共有では、誰がどのバージョンを持っているかの把握ができません。
工場では最新だと思っていたデータが、一つ前のバージョンだったという話はよく聞きます。
④ 技術継承や災害対策
紙管理では災害が起きた時に設計データが失われるリスクが高まりますし、日焼けや破損などで時間と共に見えづらくなってしまいます。
また、ベテラン設計者しか保管場所や最新版がわからないとしたら、人材の異動や退職により貴重なノウハウが失われるリスクが常に存在します。
設計データの共有がもたらす効果
※画像イメージ:トモラク株式会社が提供する「AI図面文書活用システム|TomorakuDMS」
① 設計効率の向上
過去の設計データの再利用により、設計工数を70%削減した事例も報告されています。
過去の設計資産を効率的に活用することで、1から設計を起こす無駄な作業が大幅に削減されます。
② 品質向上と標準化
成功事例や改善ポイントが組織全体で共有されることで、設計品質の底上げと標準化が実現します。
過去の不具合情報の共有により、同様の問題の再発防止効果も期待できます。
③ 開発スピードの加速
複数の設計者が同じプロジェクト情報にリアルタイムでアクセスできることで並行作業が可能になり、製品開発全体のスピードが向上します。
設計変更の影響範囲も即座に把握できます。
④ 大幅なコスト削減
製造業では作業の手戻り削減により人件費や製造コストを大幅に削減できます。
例えば、購買や製造で古いバージョンを使うミスがなくなれば誤発注や仕損を大幅に抑えられます。
また、設計ミスの早期発見により、後工程での修正コストも最小限に抑えられます。
⑤ 知識の組織化と継承
個人に蓄積されていた設計ノウハウが組織資産として体系化され、人材流動があっても知識が失われることなく、組織全体のスキルレベルが向上します。
DXによる設計データ共有の方法
DXを推進するにあたって、システムを選定するときは以下のような点を考慮すると大きな効果を発揮できます。
<クラウドを活用した共有>
クラウドシステムにより地理的制約を超えた安全なデータ共有が実現できます。
暗号化技術などにより、クラウドのセキュリティは向上しており、紙管理以上のセキュリティを確保できます。
※クラウドの安全性については、別の記事でも改めてお伝えしますので、ここでは詳細を割愛します。
<細かな権限制御>
※画像イメージ:トモラク株式会社が提供する「AI図面文書活用システム|TomorakuDMS」
役割に応じたアクセス権限の設定が可能です。設計者は全権限、製造担当者は製造関連情報のみ、営業担当者は仕様概要のみといった柔軟な制御により、情報漏洩リスクを最小化できます。また、ダウンロードや印刷の権限を制御したり、誰がいつどの設計データをみたか、閲覧の履歴も管理することができます。
<バージョン管理>
すべての変更履歴が自動記録され、いつ誰がどのような変更を行ったかが明確に把握できます。問題発生時の原因追跡や設計変更の影響範囲の特定が迅速に行えます。
<AIを活用した高度な検索>
古い図面や画像化されたPDFの報告書、手書きの品質記録などもAIを活用することで検索が可能です。
これにより設計者の作業をさらに効率化できます。
※画像イメージ:トモラク株式会社が提供する「AI図面文書活用システム|TomorakuDMS」
まとめ
設計データ共有のDX化は、セキュリティリスクを従来以上に低減しながら、組織全体の生産性と競争力を大幅に向上させる重要な取り組みです。
デジタル技術により、データ漏洩への懸念と業務効率化の両立が実現できることが伝わると幸いです。