
AIを活用した設計や生技・保全の業務効率改善事例
2025年05月22日 12:36
この記事は、2025年5月17日(土)にトモラク株式会社(登壇者 事業開発 河江一輝)がMEX金沢2025(第61回機械工業見本市金沢)で講演した内容を書き起こしたものです。セミナーの一部の内容を要約・編集しておりますので、予めご了承ください。
目次
製造業を取り巻く課題
AI活用入門!課題解決事例
※この記事は約4分で読むことができます
製造業を取り巻く課題
製造業を取り巻く課題の1つ目、“技術者の慢性的な不足”です。これは皆様も日頃肌で感じておられる問題だと思います。
ある調査によると全国平均では機械電気エンジニアの有効求人倍率は5.63倍であるのに対し、石川県ではそれをさらに上回り6倍を超えており、人手不足が深刻な状況です。そしてこうした状況は、今後悪化することはあっても劇的に改善する可能性は低いと考える方が自然です。
そうした中で、「いかに採用するか」だけではなく、「人が足りない前提で、どう業務を回すか」という視点が求められています。
次に指摘されている課題が、「調達コストの上昇」です。
こちらのレポートは製造業の各業種に対してどんな社会情勢の変化が事業に影響を与えているかを調査したものですが、製造業の全ての業種が赤枠で囲った原材料価格やエネルギー価格の高騰が最も事業に影響を及ぼしていると回答しています。
最近では、これらに加えて関税が業界を揺るがしています。外的要因の変化が激しさを増す中で、変化に強い筋肉質な事業を作ることが求められます。
ここまで見てきた通り、人手の確保も調達コストも不確実性がます中で、「今あるものをちゃんと活かす」「再利用」という視点が重要です。
紙の図面、手書きの改造記録、トラブル対応履歴…。こうした「過去資産」を正しく再利用できれば、設計・保全・営業の現場全てでムダややり直しを大幅に減らすことができ、変化に強い事業を作ることができるとトモラクは考えています。
そして、その実現を手助けしてくれるのがAIです。
AI活用入門!課題解決事例
AIと聞くと「難しそう」とか「大変そう」と感じられるかもしれませんが、今回はできるだけ身近なシーンで想像していただきやすいものを例に挙げたいと思います。
まずは一般的なファイルの検索というシーンです。設計の方が図面を探す、生産技術や保全部門の方が改造記録を探す、購買の方が見積書や注文書を探す、色々なシーンがあると思います。
普通こうしたファイル検索をしようとすると、例えばファイル名を頼りに探すということがあると思います。ただ、よくあるのが、ファイルの命名ルールが決まっていない、いい加減な名前をつけてしまった、というケースで必要なものが見つからないということ。
もしくはフォルダの階層を開いて探す方法。これも、人によって好き勝手にフォルダを作っていたりすると、目当てのファイルを探し当てることは容易ではありません。前任者がしまったファイルがどこにあるか分からない、という話はよくありますね。昨今のように人材の流動性が上がって人の出入りが増えると、こういう問題はますます増えてくると思われます。
ではこうした課題、AIならどう解決できるか?以下の画面をご覧ください。
文字認識をするAIの技術が発達したことで、インターネット検索をするかのように、図面や仕様書や見積書、品質報告書などの中に記載されている文字を検索することができるようになりました。紙文書をスキャンしたPDFや手書き文字も検索できます。実は文字認識技術は以前からあったのですが、この2年前後のAIの進化で高い精度で文字を認識できるようになり、かつAIの価格も手頃になりました。つまり、実際の業務に使えるようになってきたということです。
トモラクが24年末に行った調査では、約4万文字の認識精度が99%を超える結果となっています。
続いて、以下の画面をご覧ください。
設計、生産技術や保全、購買、製造の皆様は、図面だけで業務が完結しないことが多いと思います。トモラクにも図面に関連する見積書や品質報告書、仕様書などの関連文書も一緒に探したいという声が多く寄せられています。
事前に図面と関連資料を紐付けて管理されていれば良いのですが、部署をまたがる資料ですからバラバラに管理されていることが多いと思います。では、今から図面と関連資料を紐付けて管理するのか、と言われると数十万点もある資料を整理するのも非現実的です。
そこで、最新のAIを活用すると、図面の内容を解釈し、関連する見積書や品質報告書、仕様書などを自動的に探し出してくれることが可能です。まるでYoutubeの右側にある関連動画のように、手間とストレスなく関連資料を確認することができます。
ますます発展するAIを活用して、業務の生産性向上に役立てられることが伝われば幸いです。