AI図面検索システムの選び方|運用定着に失敗しないための2つの質問

これまでの記事では、検索性能や検索以外の業務改善・拡張性について触れてきました。
まだご覧になっていない方はぜひご覧くださいませ。
▶ 詳細記事:AI図面検索システムの選び方|検索性能の比較ポイント
▶ 詳細記事:AI図面検索システムの選び方|点の改善から業務プロセス改善へ
今回の記事では、多くのお客様が最も気にされている「運用定着で失敗しないか?」について解説します。
図面管理システムやAI図面検索システムを選ぶ際、私たちはベンダーにまず2つの質問をすることをお勧めしています。

実はこの2つの質問だけで運用負荷がどれくらいかかるか見えてきます。
図面管理システムやAI図面検索システムが定着するかどうかは「運用負荷」で決まることが多いため、非常に重要な確認事項です。
今回は、運用負荷という観点からシステム選定のポイントを解説します。
目次
※この記事は約4分で読むことができます。
1. まず考えるべきは「探したい」のか「管理したい」のか

システム選定の前に、まず明確にしておきたいことがあります。それは、
「必要なデータを探す効率を上げたいのか」
それとも
「データを整理・管理したいのか」
ということです。
この違いによって、選ぶべきシステムも運用方法も大きく変わります。
実は、データを探す効率を上げるのが目的であれば、必ずしもデータを整理・管理する必要はありません。
検索結果に、
古い版の図面
今は必要としない文書
が表示されることはあるかもしれません。
しかし、検索結果の上位10件ほどの中に欲しい情報が入ってさえいれば、あとは人が確認することもできますし、そこで必要のない文書や古い図面は仕分けることもできるでしょう。
一方で、登録する段階からデータを整理・管理しようとすると、大きな運用負荷が発生します。
2. データ整理には想像以上の工数がかかる

例えば、図面や文書が10万ファイルあるとします。
1ファイルあたり30秒で確認・整理できたとしても、
10万ファイル × 30秒で約300万秒。
時間にすると約833時間になります。
1人で作業すると、休憩なしでおよそ5ヶ月半の工数がかかります。
さらに、その作業を行えるのは過去の経緯を知っているベテラン社員であることが少なくありません。
つまり、会社にとって価値の高いベテランの時間を大量に奪うことになります。
しかも、ベテランであれば経験則から必要な資料がどこにあるかは概ねわかるはずです。
ですから、ベテランにとっても自分のためではなく、他の人のために通常の業務時間に加えて整理に時間を確保してもらうということになります。
日々の業務だけでも忙しいですから、多くの企業では途中で運用が止まってしまいます。
3. AIが整理して登録してくれる?

最近では、
AIによる属性付与
AIによる文書分類
AIによる版の推定
なども登場しています。これらは非常に有効な技術です。
しかし、現時点では正しい結果を保証できるわけではありません。様々な図面様式、文書様式がある中で90%以上の精度が出れば良い結果と言えるのではないでしょうか。しかし、それでは人手による最終確認が必要になります。
つまり、
AIが運用を不要にするのではなく、AIが確認作業を減らしてくれる
という理解が現実的です。
4. 整理するなら日常業務に溶け込ませる
では、データ整理や管理は諦めるべきなのでしょうか。
そうではありません。
重要なのは、「整理自体を日々の業務にしない」ことです。

例えば、承認、出図、配布、設計変更管理といった日常業務をペーパレス化し、システム上で行うようになると、その過程で自然にデータが整理されていきます。
つまり、
「整理するために登録する」のではなく、
「日常業務を行った結果として整理される」状態を作ることが重要です。
運用が定着するシステムとは、利用者の日々の業務を超えたプラスアルファの頑張りに依存しないシステムです。
5. そもそも過去データは全て整理する必要があるのか
ここまでの内容を読んだくださった読者の中には、
「それでは過去データが整理されないのではないか」
という疑問を持つ方もいるでしょう。
しかし、膨大な過去データを登録時に整理する必要はあるのでしょうか。
過去の図面や文書も、実際に利用されるタイミングが来れば、その時点で業務フローの中に取り込まれ、日常業務を行なった結果として整理される。そういう考え方はどうでしょうか。

ここまで来ると、そもそも「今後使われる予定のないデータまで整理する(整理の時間を投資する)必要があるのか」という考え方もできます。
もちろん企業ごとの事情もありますが、
「使われる時に整理する」
という考え方は現実的な選択肢です。
6. 探す効率を上げることが目的なら、トコトン楽をする
もし目的が
「データを整理すること」
ではなく
「必要な情報を探す効率を上げること」
なのであれば、運用負荷は徹底的に小さくするべきです。効率を上げるための取り組みなのに、登録に負荷がかかってしまっては意味がありません。
システムを選定する際には、

既存のファイルサーバーをそのまま登録できるか
階層の深いフォルダ構造を維持したまま登録・利用できるか
複数ページのPDFをそのまま扱えるか
図面と文書の紐付け登録が不要でも検索できるか
属性登録をしなくても検索できるか
権限をフォルダ単位など簡単に設定できるか
マニュアルなしでも利用できそうか
といった点を確認することをお勧めします。
機能が100個あっても使われなければ意味がありません。
運用が続くことの方が重要です。
7. 運用定着に失敗しないための2つの問い
ここで冒頭の質問に戻ります。
「運用開始初日に10万ファイルを登録し、翌日からすぐに検索できますか?」
この質問は、「どれだけ登録前の整理が必要か」を見抜くための質問です。
「初月にどのくらい検索をされている実績がありますか?事例を教えてください」
この質問は、「そのシステムが本当に現場で使われているか」を見抜くための質問です。
定着しているシステムであれば、利用状況について具体的に説明できるはずです。
8.まとめ
導入初日から使われるシステムと、整理が終わるまで使えないシステムでは、現場の受け止め方は大きく変わります。
図面管理システムやAI図面検索システムを選ぶ際は、まず「探す効率を上げたいのか」、「管理したいのか」を明確にすることが重要です。
探すことが目的であれば、運用負荷はできる限り小さくするべきです。
一方で、版管理や承認、配布管理まで含めてデータを整理したいのであれば、日々の業務プロセスに組み込める仕組みが必要になります。
大切なのは、機能の多さではありません。
現場で使われ続ける仕組みになっているかどうかです。
そして、その見極めの第一歩が、以下の2つの質問なのです。

次回は、AI図面検索システム導入時の「リスク」について解説します。
▶ 図面管理システムの選定リスク|利用部門が見るべき3つの視点
AI図面検索システムを選ぶ際の全体像を知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
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